2011年2月8日火曜日

アセアニア経済 ミャンマーに熱い視線

 ミャンマーで年内に行われる総選挙後をにらんで、各国が同国への投資拡大に動き出した。タイや中国、ベトナムなど近隣諸国に加え、日本もミャンマーでのビジネスチャンス獲得を狙う。米国のオバマ政権が対ミャンマー政策の見直しに着手したことで、総選挙後には欧米による経済制裁が解除される可能性がでてきたとの判断があるためだ。ただ、政府をあげて投資拡大をはかる各国に比べ、日本政府の取り組みは緒に就いたばかりだ。

 「わが国は日本への気持ちが伝統的に強いが、日本からの投資は12番目だ。投資拡大を歓迎する。ビジネス上の問題があれば解決のため、われわれが一緒に政府に働きかけたい」。

 昨年10月、日本貿易振興機構(JETRO)シンガポールが派遣した視察団のメンバーを前に、ミャンマー商工会議所のウインミント会頭ら幹部は、日本企業の進出に強い期待を相次いで表明した。

 1988年に9月に登場した現在のミャンマー軍事政権は、それまでのネ?ウィン政権が進めた社会主義経済政策を転換し、市場経済の導入を進めた。民間企業に貿易を認め、外国からの直接投資を受け入れることで、疲弊した国家経済の立て直しを図ろうとした。しかし、国内の人権侵害などを理由に米国や欧州連合(EU)による経済制裁や人道分野以外の援助凍結などで経済の立て直しは容易ではなかった。

 欧米や日本など先進国が援助や投資を控えるなか、同国と国境を接する中国がミャンマーへの援助と投資拡大に乗り出す。中国は送電網や道路などのインフラ整備を進め、ミャンマーとの国境貿易を拡大。1999年から2005年までの6年間で対中輸出は2倍になり、中国からの輸入は4倍に膨らんだ。

 こうした中国のミャンマーに対する影響力拡大を懸念した周辺国もミャンマーとの通商関係を強化。08年のミャンマー関税局の統計によると、貿易相手先ではタイを筆頭にシンガポール、中国、インド、マレーシアの順となった。日本の貿易額は中国の3分の1、インドの半分に過ぎない。

 アジア経済研究所の工藤年博主任研究員によると、こうした中国とアジア各国の動きが欧米などの経済制裁の効果を減殺した。さらに2000年以降、ミャンマー西部アンダマン海で産出する天然ガスの輸出が本格化したことで、国有企業や軍関係の企業は経済制裁の痛手をほとんど受けなかったという。

 一方、外国からの直接投資は、電力や石油?ガス、鉱業に加え、製造業や不動産など多岐にわたるが、1989年から09年8月末時点の累計(認可額)でみると、タイ(46?96%)が最も多く、以下、英国、シンガポール、中国、マレーシアと続く。以下、香港、フランス、米国、インドネシア、韓国、オランダ、日本、インドの順だ。ただ、06年から08年に限ると、中国が60%を占め、断トツの1位となっている。

 さらにミャンマー国家経済開発省幹部は、先のJETRO視察団との会談で、中国やタイだけでなく、かつて友好国だった東ドイツとの関係を引き継いだ形でドイツがミャンマーへの進出拡大に意欲的であることを明らかにした。

 一方で、別の幹部からは、ミャンマーのテレビでは現在、中国や韓国の番組(英語放送)が流されており、「多くの国民が中国や韓国への親しみやあこがれを持ち始めている」との発言があった一方、かつて親日国といわれたミャンマーで日本の存在感が薄れているとの指摘も出たという。

 経済制裁に従った日本を横目に、中国や韓国だけでなくドイツなども進出準備を進めていることに、JETROシンガポールの寺澤義親所長は「選挙が無事行われるのか、不透明な点はあるが、すでに欧米各国も動き出している今、日本企業もミャンマーへの本格投資に向けて、とりあえずビジネスパートナー探しなどに取り組む時期だろう」としている。(ヤンゴン 宮野弘之)

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引用元:エミルクロニクル(Econline) 総合サイト

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